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【病気のおはなし】
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水イボNEW !

■症状

水イボは、正式の病名を「伝染性軟属腫」(でんせんせいなんぞくしゅ)といい、小児によく見られる、表面がツルっと光沢を帯びたドーム状に隆起した軟らかいしこりです。中央部が少しくぼんでいるのが特徴とされますが、中にはそうでないものもあります。大きさは数mm〜1cm弱、最大でもエンドウ豆程度で、時間の経過とともにこの発疹が広範囲に数十から数百個にも増える傾向にあります。つぶすと小さな白い固まりが出てきますが、この中にはウイルスが存在し、これが感染を広める原因です。プールでうつることが多いと言われています。

痒みを伴うこともあるため、掻き壊すことによって感染の可能性がより高まります。また、肌同士の接触や、ウイルスが付着したもの(遊具、タオル、水着、プールのビート板、浮き輪など)に接触することで他の小児にも伝染します。ただし、基本的にプールの水を介しての感染はないと言われています。したがって、プールそのものが感染の要因というより、プールでは肌が露出するので肌同士が接触する機会が増え、それによって伝染すると考えられています。まれに大人にもできることがあります。

■治療

水イボについては、医師によって考え方や治療方針が異なっているのが現状です。放っておいていいという意見もあれば、取った方がいいという意見もあります。どの意見もそれぞれのドクターが自らの知識や経験、また良心に照らして判断したものであり、その意味でどれも間違いではないと思います。また、医師によって治療方針が異なる疾患は、何も水イボだけではないというのはご存じのとおりです。しかしながら、このようないわば「両論併記」といった状態が患者様を混乱させていることは事実であり、この点を医師として大変申し訳なく思います。

ご参考までに、私の所属する日本臨床皮膚科医会(日臨皮)では、水イボについて次のような公式見解を示しています。すなわち、水イボは「幼児・小児によく生じ、放っておいても自然に治ってしまうこともありますが、それまでに長期間を要するため、周囲の小児に伝染することを考慮して治療します。プールなどの肌の触れ合う場ではタオルや水着、またプールのビート板や浮き輪の共用を控えるなどの配慮が必要です。この疾患のために、学校を休む必要はありません」との見解です。なお、以上は組織としての見解ですから、個々のドクターや症例によって見解や対応が異なる場合もあります。

日臨皮の見解にもあるように、水イボは自然治癒が期待できる疾患です。ただし、同じく日臨皮の見解にあるように、自然に治るとしても長い時間を要します。具体的には半年から1〜2年、場合によってはそれ以上かかるとされています。自然治癒は期待できても、それに要する期間が長期にわたり、なおかつその期間に大きな幅があるわけです。硝酸銀を塗布するといった治療法もありますが、いまひとつ決め手を欠くというのが率直なところです。最も確実なのは、水イボをピンセットで取り除く方法です。

平成11年4月から感染症予防法が新たに施行されたことに伴い、文部科学省は学校における伝染病予防について見直しを図り、学校保険法施行規則が一部改正されました。この改正により、水イボは「通常、登園・登校停止の措置は必要ないと考えられる伝染病」となり、「原則としてプールを禁止する必要はない」とされました。ただ、逆にいうと、これはあくまでも「通常論」や「原則論」であるともいえます。実際、「二次感染のある場合は禁止」「多数の発疹のある者はプールでビート板や浮き輪の共有を避ける」とも規定されています。なお、この規則は幼稚園や保育園にも準用されています。

いずれにしても、子供達がこの法令や日臨皮の見解に則った行動してくれればよいのですが、わんぱく盛りのちびっこ達にそれを求めるのは現実的ではないでしょう。そうかといって、完全無欠な管理と指導を教育機関側に求めるというのも、理想としてはそうあるべきかもしれませんが、やはり現実的ではないような気がします。「原則としてプールを禁止する必要はない」と規定されながらも、実際にはプールを禁止しているケースが散見される背景には、そういった「原則論」や「通常論」だけでは割り切れない、いかんともしがたい教育現場の実情があるのだと思います。また、水イボに限ったことではありませんが、お子様の伝染性疾患が原因で親御様同士の関係がぎくしゃくしてしまう恐れがあるという点も、現場としてはないがしろにできないのでしょう。

さらには、水イボは当然ながら見た目に明らかな疾患ですから、それが原因で学校でいじめられたり、からかわれたりしないとも限りません。もちろんあってはならないことですが、なにぶん幼い子供のすることです。また、いかに周囲が理解のある接し方をしようとも、患者であるお子様自身が引け目やうしろめたさ、恥ずかしさなどを感じてしまい、ひとり小さな心を悩ますとも考えられます。このように、問題が直接の症状だけにとどまらない点が、皮膚疾患の根深さといえます。

他の部位への感染や、他の人への伝染をできるだけ防ぐという観点からだけではなく、上述したような無用のトラブルや不利益を避ける意味でも、当クリニックでは一義的には水イボを取り除く(正確にはピンセットで圧出して摘出する)ことをお勧めしています。もちろん治療方針を決めるにあたっては親御様のご意見をできる限り尊重させていただきますが、様子を見ているうちにあれよあれよと広がってしまうことが多いのが、この疾患の特徴です。数が少ないうちに取り除けば、それだけお子様の負担が少ないのは申すまでもありません。

ただ、一口に水イボを取り除くといっても、すべてを一度に取りきれるとは限りません。すでに他の部位に感染してしまっていて、これから症状が出てくるとすれば、それについては取りようがないからです。しかしながら、現時点で発症している水イボの数を減らすことは、他の部位への広がりや他のお子様への伝染の可能性を減らすことにつながります。

実際、早いうちであれば一度の通院で済むこともあります。ただ、すでに発疹が広範囲にわたってしまっている場合は、相応の時間を要することになります。ですが、それでも自然治癒の場合の最短ケースとされる「半年」と比べれば、短い期間で済むことがほとんどです。ましてや、自然治癒に1〜2年ないしそれ以上かかるケースと比べたら、その差は顕著といえるでしょう。また、今ある発疹を取り除くことは、「見た目の問題」という皮膚疾患特有の観点からも一定の効果があると考えます。

どのような診療科目にもいえることですが、生死にかかわる疾患は必ずしも多くはありません。その意味では、あえて極論するならば疾患の多くは放っておいていいということにもなりかねません。ですが、そうはいかないところに、上述したような皮膚疾患の根深さがあり、患者様やご家族のお悩みの深さがあります。皮膚疾患の治療においては、患者様やご家族がどこまでの治療を希望されるかによるところが小さくありません。ですから、患者様やご家族がご意見やご希望を率直におっしゃりやすい医師のもとで治療を受けられることが大切だと考えます。

※以上は、一般的な症状や治療法などを記したもので、あくまで参考としてご覧ください。自己診断は避け、必ず皮膚科その他必要な医療機関を受診してください。
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