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【病気のおはなし】
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番外編:ジェネリック医薬品について

「病気のおはなし」の番外編として、ジェネリック医薬品について愚見を記しました。少し長くなりますが、ご一読いただければ幸いです。

■ジェネリック医薬品とは

ジェネリック医薬品(後発医薬品)とは、原則として新薬(先発医薬品)の特許期間(20〜25年)が切れてから発売される、新薬と同じ主成分を含んだ薬のことです。新薬の開発には10年単位の長い月日と数百億円ともいわれる巨額の開発費がかかりますが、ジェネリック医薬品にはそれらのコストがかかっておらず、発売までに要する費用は数千万円といわれています。その分、患者様のお手元に安く届くという仕組みです。これがジェネリック医薬品の最大のメリットといえます。

ただ、先発医薬品とジェネリック医薬品は主成分は同じですが、製造工程や薬を固める添加物などに違いがあるため、完全に同一の薬ではありません。人体というのはある意味で精密機械ですから、この微妙な差異が効き目の違いやアレルギー反応として現れる場合があります。実際、薬の形状の違いが効き目に影響を与えることさえあるのです。

ここで誤解しないでいただきたいのは、決してジェネリック医薬品がおしなべて先発医薬品より劣っているわけではないということです。優劣とか良し悪しではなく、同一の薬ではないということをご理解いただけたらと思います。したがって患者様におかれましては、先発医薬品からジェネリック医薬品に替えた際には効き方に変化がないか十分にご注意いただき、もしも異変を感じられたらすぐに医師や薬剤師にご相談ください。

■副作用について

もちろん副作用の問題は、ジェネリック医薬品に限らず、先発医薬品にもついてまわります。先発医薬品の場合は、副作用がどの程度の頻度で発生するか調査することが義務づけられていて、その結果が「添付文書」と呼ばれる薬の説明書に記載されています。たとえば、「総症例12345例中、発疹123件、下痢12件」といった具合です。一方、すべてのジェネリック医薬品の添付文書には、「本剤は使用成績調査等の副作用発現頻度が明確となる調査を実施していない」と記されています。要するに、副作用に関して先発医薬品のような調査は実施していないということです。主成分が同じである先発医薬品において副作用が生じる頻度は確認されているのだから、それを準用しようというわけです。この考え方には一定の科学的な合理性がありますが、その一方で、先発医薬品とジェネリック医薬品が同一の薬ではないということもまた科学的な事実です。

当然ながらジェネリック医薬品にも承認までにいくつかのハードルが設けられていますが、先発医薬品のように厳重な試験を課していては、安価というジェネリック医薬品の最大のメリットが失われてしまいます。そのため、いわば最低限の試験に絞られていて、たとえば被験者数にしても10〜20名程度と比較的小規模です。もちろんこれらは正規の手続きに則ったもので、ひとつひとつは科学的に支持されている試験です。ただ、これらの試験によって証明されるのは、ジェネリック医薬品と先発医薬品が同一であるということではなく、あくまでも「同等」であるということなのです。

■ジェネリック医薬品を取り巻く状況

かつてはジェネリック医薬品を処方した方が、医師は高い診療報酬を得ることができましたが、そのような優遇策があったにもかかわらず、ジェネリック医薬品が普及するには至りませんでした。現在では先発医薬品を処方してもジェネリック医薬品を処方しても医師の診療報酬は変わりませんが、安価なジェネリック医薬品を処方した方が患者様に喜ばれ、その医師の評判も上がるであろうことは容易に想像できます。つまり、先発医薬品ではなくジェネリック医薬品を処方した方が、いわゆる集患力が上がり、医師の懐は潤うはずなのです。にもかかわらず、ジェネリック医薬品の処方を躊躇する医師が少なくないのは、上述したような理由からです。

その一方で、現在の制度では医師が先発医薬品を処方した場合でも、処方箋の備考欄にジェネリック医薬品への変更を不可とする旨の医師の署名がなければ、患者様が薬剤師とご相談のうえでジェネリック医薬品に変更することが可能となりました。ただ、万が一この変更が原因で不測の事態が生じた場合、その責任が医師、薬剤師、メーカーのいずれにあるのかが曖昧である点も、ジェネリック医薬品の普及を妨げている要因といえます。

■その他の課題

ジェネリック医薬品は、原則として新薬の特許権が消滅してから発売されるがゆえに安価でお使いいただけるわけですが、言い方を換えれば20年以上前の古い薬ということになります。ご存じのとおり新薬の開発は日進月歩で、効果や安全性の高い新薬が次々と発売されています。しかし、そういった最先端の新薬に対応するジェネリック医薬品は残念ながら存在しません。

他にも現実的な問題として、薬局にジェネリック医薬品の在庫がないケースが少なくないということが挙げられます。これには、在庫を置くスペースが物理的に限られている以上、先発医薬品を優先した品揃えにせざるを得ないという薬局側の理由と、供給体制の不安定さによる品切れという、一部ジェネリック医薬品メーカー側の理由が存在します。いずれにしても、たとえ処方箋があっても目当てのジェネリック医薬品がすぐに手に入るとは限らないということです。誠に不本意ながら、患者様にはこういった点をご承知置きいただかなくてはなりません。

■今後に向けて

ジェネリック医薬品に関しては、メリットとデメリットのどちらか一方のみを強調するような、全肯定か全否定の議論に陥る場合が少なくないように思います。ジェネリック医薬品を盲目的に肯定し過度の期待と役割を担わせることは、患者様のみならずジェネリック医薬品そのものにとっても不幸なことであると思います。ジェネリック医薬品を過剰に礼賛すれば、その反動として新薬の開発力は鈍ります。それは病気でお悩みの患者様のためにならないばかりか、新薬から派生する薬であるジェネリック医薬品そのものの存立をも危うくさせるでしょう。

しかしながら、だからといってジェネリック医薬品を否定すれば、医療費の増大にブレーキをかけることはできません。かつて医療の現場では、ジェネリック医薬品を「ゾロ」などと呼んでいました。それは、先発医薬品の特許期間が過ぎるとゾロゾロと出てくることに由来しています。ある種、侮蔑的なニュアンスを含んだ言葉でした。われわれ医師は、このような認識を改めなければなりません。上述したようなジェネリック医薬品のメリットとデメリットを十分に理解したうえで、先発医薬品と上手に使い分けていく柔軟さを持つことが肝要だと愚考します。

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